強い遺伝論者の主張をまとめると,次のようになる。IQの変動の4分の3以上は遺伝的なもので,変動の一部は,親には防ぎようのない家庭内での環境要因の違いによるものだ。そして成人になると,家族間での環境の違いによるIQの差異——無作為抽出した家族Aと家族Bの間での差異——はほとんどなくなる。あなたの家族の特性と比べるために無作為にある家族を選べば,あなたの家族より資産が少なく,子供に本を読んでやらず,出来の悪い学校に通わせ,近隣環境が悪く,信じる宗教が違うかもしれないが,そんなことでほとんど違いは生じないというのだ。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 32
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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