中流階級の親は労働者階級の親に比べ,子供に本を読んでやることが多い。中流階級の家には,子ども向けの本がたくさんある。頭を支えてもらって本を見られるようになる生後6ヵ月には,本を読んでもらうようになる。中流階級の親は,単に喜ばせるためだけではなく,本の内容と外の世界を結びつけられるように読んでやる。本に書いてあることを採り上げ,それを日常生活や世の中の物や出来事と結びつけようと,意識的に努力する。(「ビリーは黒い犬を飼っています。黒い犬を飼っている人を知ってる?」「あれは小鳥。小鳥のことをどの本で読んだっけ?小鳥は何を食べるんだっけ?」)親はまた,読んだことを分析するよう促す。(「次に何が起こる?この人は何をしたいの?どうしてそうしたいの?」)
中流階級の子供はかなり幼いうちから,本について質問をしてもらい,それに答える方法を身につける。親は子供に,物の属性を尋ね,属性に応じて物を分類する方法を教える。(私があるとき飛行機に乗ったところ,3歳の子供とその父親の後ろの席になった。父親は絵本を手に取り,子供に,いろいろなものが長いか短いかを質問した。「ジェイソン,違うよ。パジャマは長いんだ」)中流階級の親は,何であるかを尋ねる質問をして(「あれは何?」「ボビーは何をやろうとした?」),続いてなぜかを質問し(「なぜボビーはそれをやったんだろうか?」),その後で評価をさせる(「どっちの兵隊が好き?」「なぜソッチのほうが好き?」)。また,本に何が書かれていたかを語らせ,それをきっかけに話をつくらせたりもする。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 110-111
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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