最後に,黒人の環境は白人の環境より急速によくなっていると考えられるので,黒人と白人の差は過去より現在のほうが小さいはずだ。実際,12歳における黒人と白人のIQの差は,ここ30年間で15ポイントから9.5ポイントにまで縮まっている。ここ30年間は,黒人にとって以前に比べさまざまな面で望ましい期間だった。全米教育進度評価(NAEP)の長期傾向調査における黒人の伸びも,同程度の値を示している。読解と算数の伸びは白人では中程度だが,黒人では著しい。NAEPにおける差の縮小は,ディケンズとフリンがIQテストに見出した5.5ポイント分とほぼ一致している。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 125-126
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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