しかし,アジア人が生まれ持った知能を最大限に活用できるさらに重要な理由は,家族から受け継いだ文化がそれを求めていることだ。中国文化の場合,学力を重視するという伝統は2000年以上前から存在している。一生懸命勉強して官僚試験に合格した賢い少年は,昇進して給料のよい政府高官になれる。それによって家族と出身の村に名誉と富がもたらされるので,家族や村人の希望や期待を背負った少年は勉強するようになる。西洋より2000年も前に中国では,勉強することで階級を上げられるという仕組みがあったのだ。
したがって,アジア人家族のほうが子供の学力を上げさせられるのは,子供への影響力がアメリカ人家族より強いためと,学力を重視するよう選択したためだということになる。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 201-202
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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