状況に注意を払うという東アジア人の特徴は,古代中国人にまで遡る。古代中国人は遠隔作用という概念を理解していて,そのため磁気や音響学の原理を理解し,潮汐の本当の原因を見出すことができた(ガリレオでさえ失敗した)。
それに対してアリストテレスの物理学は,物の性質に完全に特化していた。アリストテレスの体系によれば,石が水に沈むのは石が重いという性質を持っているからで,木切れが水に浮かぶのは木切れが軽いという性質を持っているためだ。もちろん軽いとか重いといったことは,物体の性質ではなく,物体間の関係の性質だ。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 207-208
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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