社会的慣習や思考習慣はなかなか変わらないもので,現代における東洋と西洋の社会的,認知的な違いは,古代とほとんど変わっていない。したがって,西洋人のほうが規則,分類,論理を重視し,東洋人のほうが関係性や弁証法的推論を重視すると考えられる。実際に私は共同研究者たちと,それが正しいことを発見した。
東洋人と西洋人に,うし,ニワトリ,草といった3つの単語を示し,このうち調和する2つはどれかと尋ねたところ,まったく違う答が返ってきた。アメリカ人は,どちらも動物だから,つまり生物学的に同じ分類だからと,ウシとニワトリを選ぶことが多かった。しかしアジア人は関係性に注目し,ウシは草を食べるので,ウシと草が合うと答えることが多かった。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 209
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
PR