最後に,アメリカ人は,古代ギリシア人と同じ「論理過剰」な態度のせいで,推論の間違いを犯すことがある。私と共同研究者が示したように,アメリカ人は,同じ本当らしい命題でも,あまり本当らしくない別の命題と矛盾していない場合より,矛盾している場合のほうが,真であると判断することが多い。つまり,2つの命題が明らかに矛盾していれば,より本当らしいほうが真で,より本当らしくないほうが偽に違いないと決めつける。アジア人は逆に,本当らしくない命題について,もっと本当らしい命題と矛盾しない場合よりも,矛盾する場合のほうが,真であると判断することが多い。相反する命題の両方に真理を見つけようとするためだ。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 210
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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