人種によるIQの違いについては,遺伝子は何の役割も果たしていないと自信を持って言える。人種による違いに遺伝子が関与しているとする証拠のほとんどは,間接的であって簡単に否定できる。純粋なアフリカ系からヨーロッパ人の血がかなり混じった人まで,幅があるアメリカの「黒人」を対象としたほぼすべての自然実験では,直接的証拠として,IQに関して遺伝的違いはまったくないことが示されている。また,人種間でのIQや学力の違いは,1世代あたり標準偏差の約3分の1という速さで縮まっている。現在の平均的な黒人のIQは,1950年の平均的な白人より高い。
リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 245
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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