忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

思い出せない理由

 私たちがなぜ人生初期の2年ほどを覚えていないのか,近年の心理学者は次の2つの仮説を提唱している。1つは,脳がまだ十分に発達しておらず,記憶を獲得し保持する機能を担う神経系の働きが整っていないためであるという説である。もう1つの仮説は,言語が発達する年齢まで,私たちが保持したり想起したりできる出来事は非常に限られているというものである。
 この2つはまったく別の説明というわけではない。言語の発達と脳の発達はお互いに関連しているので,記憶が言語能力に影響され,その言語能力は脳の成熟に影響されるのだとしたら,結果的に,記憶の発達は脳の成熟と関係していることになるだろう。一方,もし記憶力が言語能力に影響されず,何らかの脳機能に左右されるのだとしたら,その脳機能の準備が整えば前言語的な記憶を獲得できるかもしれない。

カール・サバー 越智啓太・雨宮有里・丹藤克也(訳) (2011). 子どもの頃の思い出は本物か:記憶に裏切られるとき 化学同人 pp.41
(Sabbagh, K. (2009). Remembering Our Childhood: How Memory Betrays Us, First Edition. Oxford: Oxford University Press.)
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]