バイアスのかかった面接者とは,ある出来事に対して先入観を持っており,それに一致するように質問をしていく面接方法をとる人物である。自分の先入観に一致する話だけを採用し,一致しない話を無視するのは,バイアスのかかった面接者に見られる顕著な特徴だ。自分の念頭にある考えとは別の可能性について質問することはしない。自分が持っている仮説に一致しない事実を引き出すような質問はおそらくしないだろう。さらに,子どもが自分の先入観と一致しない話や突飛な供述をした場合には,その発言を無視するか,面接者の先入観に合致するように歪めて解釈する。また,面接者の先入観に一致する答えが出てくるまで質問をくり返し,証言をまとめようとするだろう。
カール・サバー 越智啓太・雨宮有里・丹藤克也(訳) (2011). 子どもの頃の思い出は本物か:記憶に裏切られるとき 化学同人 pp.184-185
(Sabbagh, K. (2009). Remembering Our Childhood: How Memory Betrays Us, First Edition. Oxford: Oxford University Press.)
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