国民が一定程度の豊かさを手にすると,女性の高学歴化や社会進出が進んだり,「結婚」というものが,生きていく上で不可欠な「必需品」から,なくても過ごせる「嗜好品」に変化するかもしれない。
若者の未婚率や初婚年齢の上昇は,東アジアに目を向けても共通現象になっている。たとえば経済成長が順調に進む台湾の初婚年齢は,もう日本を超えるような水準まで上がってきており,2009年では男性が31.6歳,女性は28.9歳という高さ(台湾内政部)。「敗犬女王」(負け犬の意!)というテレビドラマがヒットした。主人公は33歳の出版社の敏腕女性編集者で,8歳下のイケメンフリーター男性と恋に落ちるというラブストーリー。日本で同じ設定のドラマがあっても,まったく違和感がない。
韓国の初婚年齢もほぼ台湾と同じで,男性31.6歳,女性28.7歳(韓国統計庁)。出生率も日本を下回るほどの低水準である。
西口 敦 (2011). 普通のダンナがなぜ見つからない? 文藝春秋 pp.42
PR