いわゆる進化的に浅い変化というものがある。ほとんどが,機能の喪失,あるいは機能の強調と再方向づけに関係するものだ。この種の変化で,エラやソナーが出現することはないだろうが,驚くべきことが起こることもある。イヌは全部がひとつの種にくくられるが,すでに見てきたように,他のいかなる哺乳動物よりも形態学的に品種間の差が大きく,また,学習能力など,多くの一風変わった能力を発達させてきた。イヌは品種によって,学習の速度と能力に著しい違いがある。新しい命令を学ぶのに必要な反復の回数は,品種によって10倍以上の開きがある。平均的なボーダーコリーは,5回の反復で新しい命令を学び,95%の確率で正しく反応することができるのに対し,バセットハウンドは,80〜100回繰り返し学習させても,正しい反応が得られるのは25%程度である。
グレゴリー・コクラン,ヘンリー・ハーペンディング 古川奈々子(訳) (2010). 一万年の進化爆発:文明が進化を加速した 日経BP社 pp.20
PR