最近の自然選択で促進された社会的なパターンを見つけ出す方法はふたつある。もっともわかりやすいのは,時間が経つにつれて頻度が変化したパターンを探すことである。もっとも顕著な例は,歴史上のある時点まで(あるいはごく最近まで),非常に珍しいか,まったく知られていなかったパターンである。もっとも,多くの場合,古代文明については豊富な情報が得られていないんど得,これを探しだすのは難しいだろう。たとえば,インダス文明には二院制議会,独立した司法,成文憲法があったのではないかと考えられているが,彼らの文字を読むことができないのだから,どうしてそうだと言いきれるのか?もうひとつの方法は,空間と時間を交換してみることである。すなわち,農民として生きたことがない,あるいは,農業を営んできた期間が,ヨーロッパ人,東アジア人,および中東の人々よりかなり短い現代の人々を観察するのである。そして,どのような社会的パターンや制度(もしあれば)が,そうした人々の集団では栄えていないかを調べる。この方法は,古代文明について考察するよりももっと議論を呼ぶかもしれないが,最近の歴史については少なくともよく記録が残されているという利点がある。
グレゴリー・コクラン,ヘンリー・ハーペンディング 古川奈々子(訳) (2010). 一万年の進化爆発:文明が進化を加速した 日経BP社 pp.150-151
PR