人の悪口を言うことにはいくつかの利点がある。一緒に誰かの悪口を言うことによって,その場にいる人たちの連帯感が強まることがあるからだ。また上司などの悪口を言って鬱憤を晴らせば,ストレスの解消にもなる。
だが,もちろん,悪口を言うことには欠点もある。悪口を言うというやり方であまりにも安易にストレスを解消してしまうと,率直に意見を言って,問題を根本から解決することができなくなってしまうからだ。同僚の悪口を言うくらいなら,直接本人に意見をぶつけたほうがいい場合がたくさんある。
とりわけ相手が妄想性の性格の人の場合は,その人の悪口を言うことは大きな危険を冒すことにつながる。妄想性の性格の人は,誰かが自分に悪意を持っているのではないかとつねにアンテナを張っている。したがって,悪口を言ったりすれば,必ずわかってしまうのだ。そうなったら,今度はあなたのほうがあることないこと悪い噂を流されるのを覚悟したほうがよい。
フランソワ・ルロール&クリストフ・アンドレ 高野 優(訳) (2001). 難しい性格の人との上手なつきあい方 紀伊國屋書店 pp.77-78
(Lelord, F. & Andre’, C. (1996). Comment gérer les personnalités difficiles. Paris: Editions Odile Jacob.)
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