料理上手やグルメ,旅行好き,スポーツマン/ウーマンぶり,各種のオタク趣味などをアピールしている芸能人は少なくない。歌手やタレントや俳優としての固定化したイメージに,別種の親しみやすさや意外性などの魅力を付け加えてファンサービスする。あるいはファンを増やす。それは芸能活動の一環である。画家,アーティスト活動のアピールも,基本的には同じだと思う。
スポーツならよほどやりこなしていないと自慢できないし,料理やオタク趣味もハンパではバカにされるものだ。にも拘らず,アート方面となるとどういうわけか,評価が甘くなる傾向がある。アートだと聞かされると,周囲も「才能があるんだ」となんとなく一目置く雰囲気になる。そう大した内容でもないのに,メディアも持ち上げる。アートだという理由だけで。
大野左紀子 (2011). アーティスト症候群:アートと職人,クリエイターと芸能人 河出書房新社 pp.92-93
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