「ゴーマン・レポート」とは,カリフォルニア州立大学元教授,J.ゴーマン氏が作った大学ランキングのことである。最新の1998年版ではアメリカを除く総合ランキングで東京大は48位,法学分野で38位とある。しかし,その根拠がさっぱりわからない。教員や学生の質,財務状態,図書館の質などに基づくランキングと著者は記すが,評価基準や得点の算出方法が明示されていない。なんら合理性がなく,トンデモ本と断言していい。
だが,情けないことに「ゴーマン・レポート」は国からも信頼され,日本の「産業育成」「教育重点化」の格好の資料となっている。東大48位について,経済産業省は自ら作成した「今後の技術革新新システムの重要課題」(04年)で引用し,文部科学省も国会の質疑で「謙虚にそういう点は受けとめる必要がある」と答えている(03年)。
外国からの評価ならばトンデモ本まで気にしてしまう,日本の悪いクセである。
小林哲夫 (2007). ニッポンの大学 講談社 p.17
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