忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

先進性

 このように見ると,科挙が万人の門戸を解放するという看板には掛け値があることになる。確かにそうなのだが,これも時代と比較してから批評しなければ片手落ちになる。なにしろ時代は今から千年も前のことである。ヨーロッパにはまだ封建制度が幅をきかしていた時代である。家柄も血筋も問わず,力のあるものはだれでも試験を受けることができるという精神だけでも,当時の世界でその比をみない進歩したものであったといえよう。そして中国は宋代以降,つい近頃に至るまで,社会構成の本質はあまり変わらず,金持と貧乏人との距離がはなれたままで続いてきたために,科挙の制度も,ほとんど宋代のままで受けつがれてきたのだった。これをヨーロッパの社会に比較すると,その当時においては非常に進んでいたものであったが,後世になると,すっかり時代遅れの制度になっていたのである。

宮崎市定 (1963). 科挙:中国の試験地獄 中央公論社 pp.
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]