Silbereisen et al.(1986)は,いわゆる「反社会的」と呼ばれているたくさんの行為は,実際のところ目的があり自己調整的であり,そして青年期の発達の諸側面に対処するためのものだと言っている。それらの行為は,少なくとも短い期間は,発達にとって建設的な役割を果たすことができる。それらの行動は象徴的(すなわち,たいていは成熟した自己イメージをつくりたくて,あるいは魅力や社交性を身につける手段だと思ってなされる)とも言えるが,若者にリスクをもたらしうる。大人と同じように,10代の若者がある行動をとるのは,通常,そうすることによって,たとえば誰かを喜ばせたり,友達から受け入れられたりといった何らかの望ましい結果が得られると信じているからである。そういうことをする時,若者は,その行動が自分たちにとってもしかすると危険かもしれないという事実を無視したり,軽視することがある。
J.コールマン & L.ヘンドリー 白井利明ほか訳 2003 青年期の本質 ミネルヴァ書房
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