不正は学生のあいだでも横行し,しかも増加している。不正をしたことがあると答えた高校生は,1992年は61パーセントだったが,2002年には74パーセントになった。1969年にまでさかのぼると34パーセントで,2002年の半分以下である。2008年にティーンエイジャーを対象に行なわれた大規模な調査では,3分の2が不正を,3分の1近くが万引きをしたことがあると答えた。それにもかかわらず,93パーセントが自分はモラルがあると考えていた。現実と自己概念が一致していない。典型的なナルシシズムである。不正行為は大学に入ってもやまない。2002年のテキサスA&M大学の調査では80パーセント,2007年の12大学の調査では67パーセントの学生が不正を認めた。よい成績をとるための競争が激しくなったことが増加に拍車をかけた可能性はあるが,行動の変化に伴って考え方も変わっている。2万5000人の高校生を対象にした2004年の調査では,男子の67パーセントと女子の52パーセントが「実社会の成功者は,世の中で不正と考えられることであっても,成功に必要なことをして成功した」と考えていた。
ジーン・M・ドゥエンギ/W・キース・キャンベル (2011). 自己愛過剰社会 河出書房新社 pp.247-248
(Twenge, J. M., & Campbell, W. K. (2009). The Narcissism Epidemic: Living in the Age of Entitlement. New York: Free Press.)
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