ところで,この時代の大学関係者は,経世済民からとった経済という言葉に馴染みはあったにしても,「法」科大学や「農」科大学で一文字学部名称に慣れていたから,「経済」学部という二文字学部名称をやや奇異におもったかもしれない。軽いイメージももったかもしれない。
第二次世界大戦後は「社会」学部や「教育」学部など二文字学部は自然になる。「政治経済」学部や「獣医畜産」学部のような四文字学部も多くなってくる。それでもいまから20年ほど前,四文字学部は全体(四年制大学)の2%にすぎなかった。当時は五文字学部がひとつあっただけ(「人文社会科」学部)。
ところがいまでは,四文字学部どころか,「国際文化交流」学部や「情報社会政策」学部のような六文字学部もある。「ソフトウェア情報」学部のように,カタカナと漢字が混じり,相当長い学部名もある。四文字以上とカタカナ混じり学部は四年制大学全体の17%(平成11年)も占めるにいたっている。いまや二文字学部は「奇異」や「軽い」とおもわれるどころか,伝統的あるいは守旧的な学部名称になってしまった。
竹内 洋 (2001). 大学という病:東大紛擾と教授群像 中央公論新社 pp.38-39
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