また,SDIは実験ができない。セーガンが関わった宇宙計画では,実際にロケットが発射されたときにうまく機能することを確認するため,地上で慎重に実験を行なった。宇宙でのミッションの場合,チャンスは1度しかない。核戦争も同じで,2度目のチャンスはないが,SDIは地上で実験できない。衛星は軌道上に配備する必要があり,それをテストするためには多数のミサイルをわれわれ自身に向けて発射しなければならない。結局のところ,SDIの衛星はヨーロッパやアジアから北米に向けて発射されるミサイルを破壊するためのもので,その逆ではなかった。また,1基や2基のミサイルでは意味がない。ミサイル1基を完璧に撃破できるシステムも,10基とか,さらに1000基とかになればなおのこと,うまく防御できない可能性が高いからだ。SDIをまともにテストするには,米国が保有するミサイルのかなり多くを発射しなければならないだろう。
ナオミ・オレスケス,エリック・M・コンウェイ (2011). 世界を騙し続ける科学者たち(上) 楽工社 pp.94-95
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