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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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脳トレの作り方

 これを脳の年齢に換算するところが脳トレのオリジナリティーです。この脳年齢は,20代から70代までの各年代の被験者20人,計120人から得られた課題成績データにもとづいています。年齢に応じた被験者の成績の変化を最もよく表すような曲線にもとづいて,いまのあなたの成績は何歳相当かを求めることができるわけです。脳年齢という用語を使うことによって,「脳が鍛えられた」と印象付けることに成功しているのです。
 脳の働きについては知能指数というすでに確立された(といわれている)検査法があります。知能検査でも,脳年齢測定の場合と同じように記憶課題や認知制御課題,反応速度などの課題が用いられています。脳年齢測定とは知能検査の内容をより簡便にしたものと言えるかもしれません。ただし知能指数測定は数千人以上のデータをもとにして,世界各国でも評価されたものです。データ数が多いために年齢ごとの平均得点とばらつきを算出することができます。知能指数はこの平均とばらつきを加味したうえで算出されるわけです。これに対して脳年齢を求めるための基礎データのサンプル数は十分とはいえません。ゲームの点数を脳と関連付けただけであってそんなに目くじらを立てる必要はないのかもしれませんが,脳年齢は学術的な裏付けがあるものではないことは銘記しておいてください。

坂井克之 (2009). 脳科学の真実:脳研究者は何を考えているか 河出書房新社 pp.27-28
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