私たちの目的にとって,空間学習と記憶課題の真の利点は,それらが一般に,その動物の心的表象の形成と活用に依存するところにある。そうして魚がメンタルマップを形成するという点を示せば,ジグソーパズルの最初のピース,すなわちアクセス意識というピースが手に入るはずだ。
では,魚がメンタルマップを形成する能力をもっているかどうかを検証するにはどうすればよいのか?ラットは迷路の腕の部分に沿って走る能力によって知られているが,魚についてはどうだろうか?魚も迷路の腕の部分に沿って,ドアをくぐったり通路を泳いだりするように訓練できるのか?その答えは「できる」と判明しており,しかも魚はどこで曲がるべきかを学習し,とるべき経路を覚えておくことに長けている。迷路は魚の空間認知能力を研究するためのすぐれた手段の1つであり,現在ではそれを用いて多くの魚の種がテストされている。
ヴィクトリア・ブレイスウェイト 高橋 洋(訳) (2012). 魚は痛みを感じるか? 紀伊國屋書店 pp.118-119
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