多くの人の思い込みに反して,巨大な地震は決して珍しい現象ではない。国連開発計画の報告書に基づく1980年から2000年までの統計では,マグニチュード5.5以上の地震の1年での平均頻度は,高い順に中国2.1回,インドネシア1.62回,イラン1.43回,日本1.14回,アフガニスタン0.81回,トルコ0.76回,メキシコとインドがそれぞれ0.67回,パキスタン,ペルー,ギリシャがそれぞれ0.62回を数えている。以下,フィリピン,イタリア,コロンビア,米国,エクアドル,アルジェリア,コスタリカ,パプアニューギニア,ロシア……といった国々が続くのだが,要は地球全体で考えれば大規模な地震は毎年,何度も起きているのである。
日本の気象庁も,津波や高波に備えて海外で1ヶ月以内に起きたマグニチュード7以上の地震に関する情報を公開しているが,そこには常に数件が掲示されている。私たちの印象に残っている事例が少ないのは,マスコミもしくは私たち自身の無関心によって忘れ去られた事例が多いからにすぎない。地震兵器の実在を主張する者は,地震兵器が発動した例として,過去の膨大な地震の事例から,好きなものをピックアップできるわけだ。
ASIOS・奥菜秀次・水野俊平 (2011). 検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定 文芸社 pp.93
引用者注:本書は2011年1月31日に発行されており,執筆時に東日本大震災は起きていない。だがおそらく,数年が経過すれば同じ状況となるであろう。
PR