失敗が報いられる日本を想像してみよう。若者が老人に挑戦できる日本を想像してみよう。革新派が瀕死の守旧派にとってかわり,新しい事業を起こそうとする人々が,何度失敗しても再チャレンジできる日本を想像してみよう。女性たちが,家庭でも職場でも,自分は正当な権限があたえられていると感じられる日本を想像してみよう。そのような社会には,活発なフィードバック・ネットワークが存在し,政府構想あるいは社会政策が,どのような場合に有効に機能し,どのような場合に機能していないかを明確にするうえで,重要な役割を果たす。社会は,冒険をためらわない人や企業を支援する。そこでは,国民1人ひとりが,何事においても自分独自の選択ができ,自分独自の価値観を確立できると感じられる。さらに,自分の選択の結果について,自分が責任を負い,集団や組織からの暗黙の支援は必要としない。
そのような社会は,活力があり,柔軟で,世界経済における国際競争力も高い。
マイケル・ジーレンジガー 河野純治(訳) (2007). ひきこもりの国:なぜ日本は「失われた世代」を生んだのか 光文社 pp.12
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