推定では,日本人がこのような性的サービスに支払う金額は,日本の国防費に匹敵するという。毎年何万人もの若い女性がタイヤフィリピンから連れてこられ,「興行ビザ」で入国する。そして,味気ないサラリーマン生活のストレス発散の手伝いをさせられている。日本の男たちは,しばしば中国やタイヤその他,アジア諸国に,趣向を凝らしたセックスツアーに出かけては,地元の猛烈な反発を招いていている。
だが,じつのところ,ネオン輝く風俗店が日本各地に立ち並んでいるのは,日本では金銭抜きでうちとけた社会的関係を確立するのがひじょうに困難だからである。男性と女性はまったく別の生活を送っていて,セックスの回数も,他の国々と比較するとかなり少ないというデータもある。異性とのくつろいだつきあいというのがほとんどないのである。
マイケル・ジーレンジガー 河野純治(訳) (2007). ひきこもりの国:なぜ日本は「失われた世代」を生んだのか 光文社 pp.259-260
PR