国立社会保障・人口問題研究所の高橋重郷・人口動向研究部長は,大量のデータを検討した結果,日本が直面している人口危機の最大の原因は見合い結婚の減少だと確信している。じゅうぶんな余暇もなく,広範囲にわたる交流ネットワークも存在せず,家族が縁談を持ってくるわけでもない。そのため若い日本人には,自分にふさわしい相手を見つける方法がまったくない,と高橋はいう。「最近では,ガールフレンドを見つけることさえ難しく,まして結婚につながる関係を築くことはさらに難しくなっているのです」と高橋。その理由は,仕事と,さらに仕事終了後に必要とされるつきあいに,あまりにも多くの時間が費やされるからだという。「私たちのデータをみればわかりますが,異性の友人がいないという若い独身者がたいへん多いのです。日本人の性行動には,それほど大きな変化は見られないのに,結婚外の性行動は増えています。したがって,結婚・家庭形成が減少していることになります」
マイケル・ジーレンジガー 河野純治(訳) (2007). ひきこもりの国:なぜ日本は「失われた世代」を生んだのか 光文社 pp.263
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