では,そんなビジネス書「もどき」をいったいどんな人が読んでいるのか?これが謎だった。今でも謎である。数十万部も売れた「もどき本」はざらにあるのである。大前研一や論理的思考やドラッカーや生産管理や会計学やリストラクチュアリングなどのまともなビジネス書を読んでいた読者が「もどき本」に流れたとは到底考えられない。
となると「もどき本」の読者は,元々そういう本を好むというか,そういう本しか好まないというか,ややパンチの利いた別種の読者層ということになる。すなわち手相や姓名判断や星座や血液型や宇宙の意志や前世や言霊やパワーストーンといった陣地や合理性を超えたものを信じる傾向にある他力本願の人。もしくは,なんのスキルも情熱もなく,長期間の地味な努力もしたくないが,自分の卑小さを押さえ込んだ大物感という気分を楽に満足させてくれるような一攫千金を夢想する人か。
勢古浩爾 (2010). ビジネス書大バカ事典 三五館 pp.17
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