むろん「成功」はあってもいいし,たしかに「成功」は世に存在している。しかし「成功」など,どうでもいいのである。はっきりいっておこう。ビジネス書「もどき」は「成功」にはまったく役に立たない。「だれでも」なんて,ウソに決まっているのだ。それに「成功」など,ふつうの人間にとっては人生の中心的目標にはなりえないものである。あくまでも付随的結果にすぎない。「成功」を人生最大唯一の目標にするというのは,「成功」の熱に浮かされたごく少数の人間の問題にすぎない。たとえ,目標だったプロ野球選手になれた,期せずして大金を掴んでしまった,大学の先生になれた,社長までのぼり詰めた,国会議員になった,としても,それを「成功」という言葉で呼んでもなんの意味もないのである。目標を達成した人間は,結局はやはり自分で考え,自分で行動したのである。ビジネス書「もどき」が出る幕など,わたしたちの日々のなかにはまったくといっていいほどないのだ。
勢古浩爾 (2010). ビジネス書大バカ事典 三五館 pp.33-34
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