民主主義の世の中で生きる場合のもっとも重要な責任は,よく考えて投票することだ。ロジカル・シンキングは,その大切な目標を達成するための大きな力となる。多数決の最大の弱点は,多数が間違う可能性があるということだ。アメリカの18世紀から19世紀にかけての奴隷制度がそれを教えてくれる。学校の教室で,正しいと思われるものを投票で選ばせたら,どれだけ混乱するかを想像してほしい。論理的な概念は成功には欠かせないし,成功のために努力することも重要だ。
ホロコーストを忘れてはならないのと同じくらい,ソ連の経験を覚えておくことは重要である。ソ連が証明したのは,目標——経済的および社会的な平等——を達成することは,その目標が達成されても,人々の満足にはあまり結びつかないということだ。私たちは「何を望むか」について慎重にならなければならない。なぜなら,私たちはそれを本当に手に入れられるかもしれないからだ。ロジカル・シンキングは,良心的な人々が,本当に望むものを見極めるための力になる。
マリリン・ヴォス・サヴァント 東方雅美(訳) (2002). 気がつかなかった数字の罠:論理思考力トレーニング法 中央経済社 pp.180-181
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