何かの収集にこれほど情熱を傾けることは,果たして病的なのだろうか。誰かが何をどれだけ集めようが,本人や他の人々の健康や幸福を妨げない限り,気にする人はほとんどいない。しかし,ひとたびそれらが妨げられると,その結果はコリヤー兄弟やアイリーンの場合のように悲劇となる。通常の収集活動とホーディング行動とを分けるのは,そのために生じるストレスや障害だ。私たちの研究対象となる人の多くが,ホーディングのせいで多大なストレスを負っている。モノを手に入れたり溜めこんだりすることで,彼らは経済的にも社会的にも破綻し,家族は離れていき,生きるための基本的な活動さえも難しくなってしまう。中には,近所や家族の人々も同様に生活に支障をきたすケースもある。したがってホーディングはモノの数ではなく,それらのモノを集めたり溜めこんだりすることが所有者に及ぼす影響によって定義されるべきだろう。ホーディングのためにストレスを負ったり,生きるための基本的な活動さえできなくなったりしたら,病気に足を踏み入れたことになる。
ランディ・O・フロスト ゲイル・スティケティー 春日井晶子(訳) (2012). ホーダー:捨てられない・片付けられない病 日経ナショナルジオグラフィック社 pp.78
(Frost, R. O. & Steketee, G. (2010). Stuff Boston: Houghton Mifflin Harcourt)
PR