ミスターDがエディンバラ大学で占いを披露したとき,彼の占いがはずれたと表立って口にした参加者は1人もいなかった。だが,はずれた例はたしかにあった。そんなとき,占い師は失敗を目立たなくいするための“抜け道”をいくつか用意している。最もよく使われるのは,はずれだった内容を広げていく方法だ。たとえば,「ジーンという名前の人を感じます」が当っていなかった場合は,「ジーンでなければ,ジョーンか……ジャックかもしれない。Jではじまる名前,いや,ひょっとするとJに近いアルファベットの,Kかもしれない。カレン?ケイト?」
あるいは,客自身にもう1度よく考えてみるように頼んだり,あとで家族に聞けば答えが見つかるかもしれないと言ったりして,自分以外の誰かに問題の解決をゆだねる方法もある。そしてもう1つは,「私が言ったのは,たとえです」という抜け道である。
リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2012). 超常現象の科学:なぜ人は幽霊が見えるのか 文藝春秋 pp.51-52
PR