フーランは,暗示にかかりやすい人は自分が幽霊屋敷にいると思うだけで,絵に描いたような幽霊体験をしてしまうのではないかと考えた。しかもその体験で恐怖心をあおられ,過剰警戒をし,ちょっとしたことでもきにしはじめる。彼らは床板がかすかにきしむ音,ゆらぐカーテン,なにかが燃えるような匂いに突然敏感になる。おかげでますます恐くなり,さらに警戒心が強まる。こうして感情が雪だるま式にふくれあがり,動揺し不安に襲われたあげく,極度の興奮状態になり,妄想を抱きがちになるのではないか。
数多くの実験結果が,フーラン説を支持した。私自身の実験でも幽霊を信じている人のほうが,信じていない人よりも,奇妙な体験をする割合がはるかに高かった。そしてその不思議現象は,ホラー映画によく登場する,見た目が不気味な場所で起きることが多かった。
リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2012). 超常現象の科学:なぜ人は幽霊が見えるのか 文藝春秋 pp.
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