振り込め詐欺の被害を防ぐには,彼らがどんな手口でやってくるか,その手口をあらかじめ知ることで防ぐことができる。金を要求する怪しい電話がかかってきても,「このパターンかもしれない」と思うことで冷静に対応できるのだ。
ここまで被害が広がった理由のひとつに,警察が詐欺手口の公表を手控えたことにある。おそらく,手口を公にするとそれをマネした犯罪が増えると考えたのかもしれない。だが,詐欺の実態を知らせないことで逆に被害は広がった。裏社会ではこうした金になる詐欺情報はすぐに伝わり,多用される。警察が公開しようとしまいと,こうした詐欺は水面下ですでに伝わっているものなのだ。ちなみに,新聞などからの安易な情報だけを得て,マネしたまぬけな詐欺師はすぐに捕まっている。
実際,被害情報をオープンにすることで,社会全体が危機感を持ち,振り込め詐欺,架空請求は沈静化に向かってきている。被害の情報公開は誘拐などのように命の危険がある場合は別だが,私は新手の詐欺の場合はできるだけ早めにオープンにすべきだと思っている。
多田文明 (2005). 電話に出たらこうなった! 大洋図書 pp.160-161
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