忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

最悪の仕事

 皮なめしという仕事は“最悪の仕事”のコンセプトからすると,典型的なものである。驚くほどハードなものであるとともに,デリケートな現代人からすれば胸の悪くなるような仕事でもあろう。しかも,皮なめし人たちは自らのコミュニティからのけ者にされていた。それでも,技術の必要な仕事であったことは確かだ。ヴィクトリア時代,この仕事には何千という人たちが就いていた。もっと重要なことに,この仕事がなかったら——そして彼らの作った革がなかったら——馬に引かせる犁もなければ,騎馬隊も騎士もいず,彩色された写本も財務府の記録も存在しなかったことだろう。この社会と歴史の動きがストップしていたはずなのだ。
 だがそのことは,本書で紹介した仕事のほとんどについても言えるだろう。武具甲冑従者や火薬小僧(パウダー・モンキー)がいなければアジャンクールの戦いもトラファルガーの海戦もなかったろうし,糞清掃人がいなければハンプトン・コート宮殿もなかったろう,と。私たちの歴史が作られてきたのは,それぞれの時代の“最悪の仕事”に従事した,無名の人たちのおかげなのである。彼らこそ,この世界を作ってきた人なのだから。

トニー・ロビンソン&デイヴィッド・ウィルコック 日暮雅道&林啓恵(訳) (2007). 図説「最悪」の仕事の歴史 原書房 pp.320-321
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]