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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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正の集合

 スピアマンが予想したように,結果は常に同じだ。いくら多くの課題が考案されても,内容や心的操作,成績測定の方法の面でどれほど注意深く分離してそれらを行なっても,同じ結果が繰り返された。テストを受ける人数が多い限り(観察結果が多くなればそれだけ相関は安定した),そして,その人々が正規分布する母集団から適切に,幅広く選ばれている限り,測定された何十あるいは何百の相関はすべて正になるだろう。相関が弱いものもあるだろう(すでに述べたように,たとえば,音楽はほぼすべてsであり,ほかのあらゆるものと非常に弱い相関しかないことを意味している)。ほかのものよりずっと相関の強いものもあるだろう(こういったものはすぐに重要になるだろう)。しかし,異なる結果を見つけようと強く望んでいる心理学者の手中にさえ,基本的な結果は残る。この結果は,専門用語で「正の集合(positive manifold)」と呼ばれている。これは,すべて正を示す異なるテスト間の相関の大きな集合であり,同じ人が異なることをうまくやる包括的な傾向を反映している。
 これは実はかなり驚くべき結果だ。物理が得意な子がフランス語もかなりできる,あるいはできる傾向があることは最初から分かっていたかもしれない。しかし,同じことが,電話番号を思い出すこととか,ライトが点灯したときできるだけ速くキーを押すことにも当てはまることを本当に知っていただろうか?きっと,こういった種々の関係のすべてが,正確にどの程度成り立つかを推測できるとは期待できなかっただろう。世間の人々は,実験心理学が本当に科学かどうか不審に思うことがある。しかし,ここで,行動に関する簡単な測定値によって分かるのは,新しい,注目すべき,確定される事実であり,説明が求められるものだ。

ジョン・ダンカン 田淵健太(訳) (2011). 知性誕生:石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 早川書房 pp.56-57
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