あらゆる種類のテストに共通する影響力(すなわちその人のgのレベル)があるという考えは,もう1つの印象的な予測をもたらす。それは,またもやスピアマンの最初の実験で予想されていたものだ。2つのまったく無関係なバッテリーを作るとしよう。最初のものは私がついさきほど述べた,記憶と反応時間,語彙,移動,注意のテストからなるバッテリーとしよう。2つ目のバッテリーには,重さの弁別とジグソーパズルを解くこと,通常とは異なる角度から写真を撮られた物体の認識,ブロックを使って何かを作ること,算数を入れよう。表面的には,この2つのバッテリーはまったく異なるものを測っている。したがって,1つのバッテリーをうまくこなす人がもう1つもうまくこなすと考える確たる理由はないだろう。しかし,スピアマンの理論によれば,どんなテストがバッテリーに入っているかは重要ではない。より多くのテストを含むようになれば,すべてのバッテリーでより正確に同じgを測れるようになる。スピアマンは,多くの異なる方法によって同じくらい正確にgを測定できるこの理論的可能性を,「指標の非重要性」と呼んだ。この予測は大胆だったが,現在,これはほぼ間違いないことが分かっている。2つのバッテリーが適度に大きく,多様である限り,1つのバッテリーの平均成績はもう1つのものの平均成績と強い相関を示す。したがって,スピアマンが学力と感覚弁別を比較したときに見出したように,1つのバッテリーから導き出されるgはもう1つのものから導き出されるgとほぼ同じだ。
ジョン・ダンカン 田淵健太(訳) (2011). 知性誕生:石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 早川書房 pp.58-59
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