最初の実験において,被験者は3,4歳の子供だ。子供はカードを分類して左と右にある2つの箱に入れる。それぞれのカードには,赤色の星か青色のトラックが記されている。左の箱には赤色のトラックが,右の箱には青色の星が記されている。
子供は色ゲームから始める。赤色のカードを左に,青色のカードを右に入れるように言われる。このゲームは簡単だ。子供はカードの山をすべて分類する。
次に子供はゲームに移る。今度はトラックを左に,星を右に入れる。実験者は子供が規則を分かっていることを確認する。分類が始まる。
もちろん,この課題をうまくこなす子供もいる。すべきとおりに,トラックを左に,星を右に入れる。しかし,3,4歳だと,多くの子供がそのようにはしない。その作業の映像を見ると意外な感じがする。子供は赤色の星を取る。「これは星だ」と言い,形ゲームの規則を尋ねられると,右を指さしてどこに星を入れるかを示すことができる。しかし,分類しだすと,赤色の星をまっすぐに,前に赤色のものを入れていた左の箱に入れる。色ゲームの古い習慣が形ゲームの新しい知識と競合する。子供が実験者の質問に答えている間,新しい知識が支配していた。しかし,課題に取りかかり,カードを入れるとき,新しい知識はこっそりと立ち去り,古い習慣が支配力を再び主張する。
ジョン・ダンカン 田淵健太(訳) (2011). 知性誕生:石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 早川書房 pp.261-262
PR