自分のやったイジメ行為への批判を「なんでもないこと」にするために,いじめっ子はしばしば,次のようなパターンのイイワケを好んで使う。
1.「いじめの事実を否定する」
これはいじめじゃなくて,単なる遊びやふざけ。だからたいしたものじゃない。ちょっといきすぎたかもしれないけれど,騒ぐほどのものじゃない。
2.「いじめられっ子のせいにする」
いじめられっ子こそ悪い。性格が悪く,ウソもつき,周囲を嫌な気持ちにさせているのだから,これは受けて当然の攻撃であり,制裁。いじめではないし,むしろ相手のため。
3.「逆ギレする」
なんの筋合いがあって説教できるのか。あなたの言うとおりにする必要はない。善人ぶっているけれど,あなただって人間なんだし,悪いことをまったくしていないわけじゃない。完璧な人などいないのだから,叱る資格なんてない。
4.「自分の責任を否定する」
自分は,そそのかされたり,強要されたりと,やむをえずいじめの状況に巻き込まれただけ。やりたくてやったわけではないし,自分には責任がない。
5.「自分たちだけのオキテを主張する」
自分はあくまで,仲間内で決めたオキテにしたがっているだけ。リーダーやみんなの気持ちにしたがっているのだから,自分には責任がない。みんなで決めたことなんだから,当然の仕打ち。
こうしたイイワケを使うと,あたかもいじめを「良いこと」であるかのように偽ることができるし,自分が傷つかなくてすむ。うしろめたさを感じることなく,いじめを楽しむことができてしまうんだ。
内藤朝雄・荻上チキ (2010). いじめの直し方 朝日新聞出版 pp.53-55
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