忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

アウトカースト

 国連人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は,「潰された人々」と題する報告書のなかで,カースト制度とは次のようなものだと総括している。「世界でもっとも長く続いている身分制度……与えられた職業の清浄さを基準に定められた,複雑な社会集団の序列である」。実際,この制度は非常に複雑で,地域によっても,また宗教的な解釈の仕方によっても,微妙なちがいがある。けれども,インドのすべての地域に共通することが1つだけある。それは,カーストの下に,さらにアウトカーストという身分があって,彼らは汚れた,触れてはいけない者たちとされていることだ。そして,触れてはいけない理由は,彼らが人間の糞便を手で触っているからである。
 昔は,彼らは「バンギー」と呼ばれていた。サンスクリット語で「潰された」,ヒンドゥー語で「ゴミ」を意味する。現代では,彼らの公式な呼び名は「指定カースト」であるが,差別撤廃の運動家たちは,「ダリット」という呼び名を好んで使う。やはり「服従させられた」とか「虐げられた」という意味だが,「バンギー」のような否定的な意味合いはない。
 いまのインド人の多くは,カーストが指定する職業にこだわることは,もはやない。異なるカースト同士の結婚が増えて,より流動的に,より自由になったが,アウトカーストは,たいていの場合,やはりアウトカーストだ。それというのも,彼らはいまだに動物の皮をなめし,死人を火葬し,人の糞便をすくいとっているからである。

ローズ・ジョージ 大沢章子(訳) (2009). トイレの話をしよう:世界65億人が抱える大問題 日本放送出版協会 pp.137-138
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]