1970年代には,ホラー映画のヒットやスプーン曲げ,「ノストラダムスの大予言」,テレビのUFO番組などに代表されるオカルトブームが起きる。オカルト雑誌の老舗「ムー」(学習研究社)創刊は79年のことだ。さらに80年前後になると「精神世界」や「ニューサイエンス」などという言葉ももてはやされるようになる。
大学生が漫画を読むなどとマスコミに揶揄されたのは1960年代末ごろのことだ。さらに,コミックだけでなく,テレビアニメの視聴者層までがハイティーンより上に広がったのは70年代になってからで,75年には第1回コミック・マーケットが開催されている。
1970年代半ばから80年代にはジュニア向け文庫が次々に創刊され,現代のライトノベルの前身になった。また,推理小説の世界では,60年代での社会派一辺倒が70年代に入るとともにブレーキがかかり,伝奇的ギミックや論理(に支えられたゲーム性)が見直されるようになった。高城彬光『邪馬台国の秘密』(光文社,1973年)のように古代史の謎解きそのものをテーマにした作品も受容されるようになったわけだ。さらに81年には,いわゆる本格派の原点といわれる島田総司『占星術殺人事件』が登場している(ちなみにこの作品も,本筋とは関係はないが邪馬台国に言及した箇所がある)。
原田 実 (2009). 邪馬台国と超古代史 吉田司雄(編著) オカルトの惑星—1980年代,もう一つの世界地図— 青弓社 pp.63-82
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