ニューエイジは,アメリカ西海岸と深く結びついている。西海岸の中心地であるカリフォルニアは,20世紀初頭にはオカルトの地・神秘の国として認知され,世界じゅうのオカルティストがカリフォルニアへ集結することで,カルトの本場,「魔術師の帝国」と呼ばれるに至った。その後,1960年代のヒッピー文化を経て,70年代に始まるニューエイジ・ムーブメントによって,カリフォルニアは新たな精神文化を世界に発信する象徴的な場となる。その起源には,かつてこの地に本部を置いた,神秘性を基盤とする神智学,実利性を重視するニューソートがある。この2つを母体として,カリフォルニアでは多種多様な精神文化が生み出されていった。日本では,ニューエイジの多様な展開が「精神世界」というカテゴリーの下で集約され,さらに広範なスピリチュアリティ運動となって現在に至っている。
一柳廣孝 (2009). カリフォルニアから吹く風—オカルトから「精神世界」へ— 吉田司雄(編著) オカルトの惑星—1980年代,もう一つの世界地図— 青弓社 pp.229-253
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