忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

平安貴族たちを縛るものは・・・

 だが,平安貴族の日常生活を取り囲む日時の禁忌や法学の禁忌が膨大な数に上っていたことからすれば,これは,まさに当然の帰結なのではないだろうか。
 当時の凶日は,人によって日付の異なる衰日だけを数えても,1年間に60ヶ日にも及んだ。これに加えて,滅門日・道虚日・五貧日・十死一生日・百鬼夜行日・復日・坎日・帰忌日・下食日・往亡日といった万人に共通する凶日が,それぞれ数ヶ月ずつも設定されていた。しかも,平安貴族の周囲には,ほとんど常に何らかの方忌があった。
 したがって,何かの日取りを決めるとき,それには不向きな凶日やそれと抵触する方忌のある日を除外していくと,平安貴族にはほとんど選択肢は残されなかった。いや,どうかすると,たった一つの選択肢さえ残らないこともあり,その場合には,最も支障の少ない日が「吉日」として選ばれることになった。それに比べれば,とりあえずは日時の禁忌も方角の禁忌もない日が「吉日」として扱われるというのは,まだしもの措置であろう。
 このような事情であったから,平安時代の人々にとって,吉日の選定というのは,かなり厄介な作業であった。日時および方角の禁忌の全てを把握していなければ,彼らの言う意味での「吉日」を的確に選ぶことはできなかったからである。

繁田信一 (2006). 陰陽師―安倍晴明と蘆屋道満 中央公論新社 p.95
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]