もともと自己啓発セミナーは,1960〜70年代のアメリカで,マルチ商法のセールスマン研修と在野の心理学テクニックを組み合わせて作られたものだ。この出自のせいか,どのセミナーでも共通した問題がある。勧誘活動だ。
セミナーの中では,実習と称して受講生たちに無償で勧誘活動をさせる。「自主目標」という名の勧誘ノルマを設定させられ,勧誘ターゲットとなる友人や家族の氏名などをスタッフに提出する。もちろん,目標を達成できなければ,ほかの受講生やスタッフから罵られ,達成できれば拍手の嵐。
自己啓発セミナーにハマった人々が友人を勧誘したり路上で声をかけるのは,こういうカラクリがあるからだ。受講生たちは「自分が受講して感動したものを友人にも伝えたい」という気持ちで勧誘するが,実際にはそう行動するようにセミナー魏者に誘導され,勧誘活動と成果を管理されている。
藤倉善郎 (2012). 「カルト宗教」取材したらこうだった 宝島社 pp.36
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