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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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インターセックス

 あらゆる人間を2つの性別に分類したことでもたらされたものの1つに,女性であることを決めるとされるXX染色体と,男性であることを決めるとされるXY染色体のいずれももたなくても,そして,典型的な男性あるいは典型的な女性のものと同じ外性器や内性器をもたなくても,2つの伝統的な性別カテゴリーの一方にあてはまると間違えて仮定されてきた人々が1.7%いるということがあげられる。この2つの性別カテゴリーのどちらにもうまく入らない人たちはインターセックスと呼ばれる。こうした人たちは,最近まで,西洋文明においては見えない存在であり,そのために,多くの社会的心理的な問題を抱えることになった。インターセックスの存在は,心理学的性差の分野に革命をもたらす可能性を秘めている。というのは,心理学的「性差」についての研究は,そのほとんどすべてが,典型的な女性と典型的な男性のみを研究対象にしているという誤った仮定に基づいて行われてきたからだ。こうした研究を行っている研究者は,参加者の性別を決めるために,染色体分析や身体検査をすることはけっしてない。そして,性別を「どちらかに◯をしてください……男性,女性」で分類するようなとき,インターセックスの人たちの多くは,自分がインターセックスであることに気づきさえしていないので,生まれたときに「割りあてられた」性別を答えてきただろう。これはとりわけ重要だ。というのは,報告されている心理学的性差はたいてい大変小さい。もし過去に戻って,あらゆる性差研究からインターセックスの参加者を取り除けるとしたらどうなるだろう。インターセックスの人たちはかなり多様である。彼/彼女らの反応や回答は,ある領域における典型的な男女間に存在する本当の差異を覆い隠しているかもしれないし,別の領域では小さな差異を大きく誇張して見せているかもしれないし,ある領域では実際には存在しない差異を存在するかのような誤解を与えてしまっているかもしれない。しかし,インターセックスの人たちは,染色体上も,生理学的側面でも,ホルモンという面でも,非常に多様であるため,そして,つい最近までほとんどの人が男と女のどちらかに割りあてられて,それに応じて育てられたので,彼/彼女らを研究に含めたことで性差研究の分野がどのように変わったのかを知る方法はどこにもないのである。

P.J.カプラン・J.B.カプラン 森永康子(訳) (2010). 認知や行動に性差はあるのか:科学的研究を批判的に読み解く 北大路書房 pp.17-18
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