早稲田が学生数4万5000人,慶応が2万8000人と両校ともに多くの学生を抱えている。特に早稲田のマスプロぶりがめだつ。当然ながら多くの卒業生が社会に出る。多くの卒業生がいれば,そのなかから才能豊かで,かつ頭角を現す人が多くなる可能性は高い。政治家や経営者の輩出についても,この卒業生の多さは有利に作用すると述べたが,組織に入らず個人としてリーダーや有名人となる人が出てくる可能性も高まる。小さな大学であればそれだけ人数が少ないので,めだつ人の数も少なくなる。
早稲田はこの点で傑出しており,個人の才能と努力が結実して,各分野のリーダーを多く輩出している。このことが世に知られるにつけ,こうした世界で活躍したいと希望する人が,早稲田に入学したいと思うのは自然なことである。
以上をまとめると,卒業生の数が多いことは,それらのなかから傑出した人を輩出する可能性を高めるが,学校の名声が高まると,それにつづこうとする有能な若者が入学してくることも忘れてはならない。大学の評価が確立されると,入学してくる学生の質がよくなることを意味しているのである。
橘木俊詔 (2008). 早稲田と慶応 名門私大の栄光と影 講談社 pp.49-50
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