忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

自己の記憶

 私たちは,自らの複雑な心理傾向,性格,能力などについて考えるとき,自分についての真実と見なされているものを告げてもらうため,内なる神官におうかがいをたてる。私は社会生活に満足しているのか,結婚を続けたいのか。よい親といえるのか。ここであなたは,自分についての記憶の中から,その仮説が正しいという証拠をかき集めようとする。楽しかった先週末のパーティー。自分の生活のささいなことを知りたがる配偶者の可愛さ。風船で上手に動物をつくれる自分の腕前。
 ところが聞き方を逆にすると,記憶の中からまったく違った証拠が次々とあふれ出してくる。私は社会生活に不満なのか。すると友人たちのほとんどに,うんざりするような癖があるのを思い出す。離婚したいのか。そう考えると,2人とも黙りこくっていた結婚記念日のディナーの記憶がよみがえる。よい親とはいえないのか。突然,大事なものを電車の中に置き忘れてしまう悪い癖があるのに気づく。「あなたは自分の社会生活に満足していますか」(「不満ですか」ではなく)と聞かれた人のほうが,満足度が高くなるのは,こうした理由からなのだ。別れたくない相手に対して「もう私を愛していないの?」と尋ねてはいけない理由もここにある。


コーデリア・ファイン 渡会圭子(訳) (2007). 脳は意外とおバカである 草思社 pp.88-89.
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]