メタ分析が設定しうるリサーチクエスチョンは多様であり,いろいろな目的を持って分析が行われるが,どんなメタ分析にも共通するのは,結果が効果量として要約・報告されることである。したがって,効果量の値をどのように解釈するかは非常に重要だが,効果量はかならずしも直感的にわかりやすい指標とはいえない。実際のメタ分析論文を読んでいると,「d = 0.53で,中程度の効果量であった」などの表現を目にするが,効果量の大きさを「大きい(large)」,「中程度(medium)」,「小さい(small)」などと形容するときのもっとも有名な基準は,コーエンによるものである(むしろ,「例外なくコーエンによる」と言ってもよい)。コーエンは,検定力分析を論じた著書(Cohen, 1977; 1988)の中で,標準化された平均値差について,0.20を小さい効果量,0.50を中程度の効果量,0.80を大きい効果量の目安として示している。コーエンは,相関係数についても,0.10,0.30,0.50を,それぞれ小さい効果量,中程度の効果量,大きい効果量の目安として挙げている。
井上俊哉 (2012). 結果の解釈と公表 山田剛史・井上俊哉(編) メタ分析入門:心理・教育研究の系統的レビューのために 東京大学出版会 pp.157-181.
PR