忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

肋骨で大騒ぎ

 ヨーロッパでは肋骨が余分にあるといつも大騒ぎになる。サー・トマス・ブラウンは『俗信論』で,あるエピソードを紹介している。イタリアのピサの解剖学者マッテオ・レオナルド・コロンボ[1516-59]は,肋骨が片側だけ13本ある女性を解剖した。「そんなことがあるはずがないと非難する一団が現れたが,これは間違いなく女性の体にあった肋骨だ,と彼は断固主張した。彼の言う通りならば,イブはアダムの左右どちらのあばら骨から作られたのか,という論争は,信託を下されたように収拾することになるだろう」とブラウンは記している。旧約聖書の『創世記』第2章第21節から第22節にある「(神は)人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた」という文章は,解剖学に悪い影響を与えてきた。私は最近,生物学のクラスで30名の大学生(なかでもイギリスで最も優秀な学生たちを含む)に,男と女の肋骨の数は同じかどうか質問をした。なんと30名のうち6名ほどが,違うと答えた。「しかし,理性を働かせ,精密な調査をすれば,この論争はじきに終止符が打たれるだろう。われわれが男女両方の骨格をよく調べ,骨の構造を見れば,男も女も12対,24本の肋骨を持っていることがすぐにわかるだろう」とブラウンはいつものように力強く述べている。まったくその通りだ。しかし驚いたことに,肋骨が余分にあるのはそう珍しいことではない。成人10人の1人ほどの割合だ(ただし女性のほうが頻度が高いとか低いとかいった男女差はない)。

アルマン・マリー・ルロワ 上野直人(監修) 築地誠子(訳) (2006). ヒトの変異:人体の遺伝的多様性について みすず書房 pp.81
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]