もちろん,何にでもギブアンドテークの関係はあり,1日24時間しかないのにコンピュータ・ゲームばかりして,算数の宿題をやる時間が残らなかったりすることはある。テレビ鑑賞にような受け身の気晴らしに時間を使ってしまい,もっと能動的な認知作業に時間を使って,ワーキングメモリを訓練する機会を失ってしまう場合にも,これは言えるだろう。このようなネガティブんな効果があるのは,ゲーム・プログラムの速射砲のような作り方とか過剰な情報にあるのではない。実際,同様の心的活動の不活発さは,ワーキングメモリを訓練しない別の活動でも引き起こされる。アインシュタイン加齢研究では,多くの時間をサイクリングで過ごした人たちにも,統計的な有意差はないものの,弱いネガティブな影響が認められた。
ターケル・クリングバーグ 苧阪直行(訳) (2011). オーバーフローする脳:ワーキングメモリの限界への挑戦 新曜社 pp.175-176
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